
結果票を受け取ってから予約するまでに迷いやすいこと
結果票の胸の欄に「要精密検査」、その下には脂質の数値が並ぶ。会社からはいつ受診するか知らせるよう言われ、休める日は限られている。そんな中で、休み時間に調べている方もいらっしゃるかもしれません。
「要精密検査」は病気が決まったという意味ではなく、詳しく調べて確かめる段階です。 この記事では、結果票の読み方、どんな症状なら早めに受診したいか、何科のどこで診てもらうか、予約してから結果を聞き会社に伝えるまでの流れを、呼吸器を専門とする医師の視点でまとめました。
この記事の要点まとめ
- 「要精密検査」は病気が決まったわけではなく、結果票に書かれたことをもとに、いつ診てもらうかを確かめます。
- 胸の検査で指摘があれば呼吸器内科、脂質や血糖のことは内科が相談先の目安です。
- 予約するときに検査の内容や持ち物を確かめ、結果を聞く日と会社へ伝える日も調整します。
目次
健康診断で再検査・要精密検査になったら、まず受診時期を確認
いつ受診するかは、結果票に書かれた指示を基準に決めます。会社の報告期限とは切り分けて考えると、予定が組みやすくなります。
「要精密検査」は病名ではない:再検査との違いを読む
再検査は、同じ項目をもう一度測り、一時的な揺れなのか異常が続いているのかを確かめるものです。精密検査は、画像検査などを加えて原因を詳しく調べます。
判定の記号や呼び方は健診機関ごとに違い、何を追加で調べるかは診察した医師が決めます。「病気が確定した」とも「症状がないから様子見でよい」とも言えない段階と受け止めてください。
結果票の指示・異常項目・過去からの変化を確認する
結果票では、次の点を確かめておきましょう。
- 「○か月以内に受診」など、いつ受診するかの指示
- 胸の検査の欄に書かれていること
- 血糖や脂質などの数値と、前回の値
- 紹介状が一緒に入っているか
午前に特定健診を受けるときは、血糖や中性脂肪などの値が変わることがあるため、健診の前は10時間以上、水以外は飲んだり食べたりしないようにします1。HbA1c(ここ1〜2か月ほどの血糖の様子を示す検査)は、食事の影響を受けにくい検査です。前回から値が大きく変わったものや、意味の分からない指示があれば、健診を受けたところへ問い合わせてください。
咳や息苦しさがあるときは、予約日を待ってよいか相談する
強い息苦しさや胸の痛み、意識がぼんやりするといった症状は、予約を待たずに救急要請も考える状態です。血痰が出る、熱を伴う、日ごとに強くなる咳があれば、早めに医療機関へ相談してください。
軽い咳でも、胸部の指摘と喫煙歴をあわせて伝えましょう。「風邪が治りきっていないだけ」と決めつけず、判断の材料を医師に渡すつもりで受診していただくのが近道です。
会社の報告期限と受診期限は分けて調整する
「数か月後でよい」と一律に考えず、結果票の指示を優先してください。指示が読み取れないときは早めに問い合わせ、予約できる日と、医学的にどのくらい待てるかを相談します。
会社には受診予定日だけを先に伝え、結果は後日の提出でよいかを確認しておくと、シフトも組みやすくなります。
ポイント
受診日は仕事の都合だけで先に延ばさず、結果票の指示と医師の判断をもとに決めましょう。
胸部の指摘と脂質異常はどこへ?診療科と検査体制で受診先を選ぶ

受診先は、指摘された項目に合う診療科と、必要な検査をどこで受けられるかの2点で選びます。
胸部レントゲンの指摘は呼吸器内科、脂質・血糖の異常は内科へ
| 指摘された項目 | 相談先の目安 | 追加検査の例 |
|---|---|---|
| 胸部レントゲンの所見 | 呼吸器内科 | 胸部CT、再撮影 |
| 脂質・血糖・肝機能 | 内科 | 血液検査、尿検査 |
| 尿たんぱく・尿潜血 | 内科(必要に応じて腎臓内科・泌尿器科) | 尿検査、血液検査 |
| 便潜血陽性 | 消化器内科 | 大腸内視鏡検査 |
糖尿病の状態や使う薬を考えるために、血糖に関する検査や、インスリンがどのくらい出ているかを調べる検査を行います2。胸部の指摘でも、すべてにCTが必要とは限りません。 問診と診察、過去の画像との比べ合わせを経て、検査の内容が決まります。
複数の異常は結果票をまとめて見せ、受診の順番を相談する
胸部と脂質の両方を指摘された場合は、結果票を一式そろえ、咳などの症状とあわせて見せてください。症状の有無や判定の強さによって、先に調べる項目は変わります。
片方だけを後回しにせず、一つの医療機関でどこまで相談できるか、どんなときに別の科へ紹介してもらうかを初めに確かめておくと、何回くらい通うかを見積もりやすくなります。
クリニックか病院かは、必要な検査と紹介の要否で判断する
候補になるのは、健診を受けた施設、かかりつけ医、対応する診療科のあるクリニック、病院です。問い合わせでは、健診画像を取り寄せてもらえるか、院内でできる検査とその実施日、詳しい検査や治療が必要なときの紹介先と手順を尋ねてください。
設備があることと、当日に検査や診断まで進むことは別の話です。また、紹介状を持たずに大きな病院を受診すると、別途の負担が生じる場合があります。 紹介状が必要かどうかは事前に確認しておきましょう。
受診先を選ぶときに確かめたいこと
受診先を探すときは、呼吸器内科や内科など何科があるかに加え、脂質異常症や糖尿病などの生活習慣病について相談できるかを確かめます。CTやレントゲン、肺の働きを調べる検査、血液の検査などを院内で受けられるかは、医療機関によって異なります。
ただし、今回の指摘にCTが必要か、いつ受けられるかは、診察や事前の問い合わせで確認してください。院外での検査や治療が必要になった場合の紹介先と手順も、あわせて尋ねておくと予定が立てやすくなります。
当院に限らず、受診先を選ぶ際は、指摘された項目を相談できるかと、結果説明まで通い続けられるかの両方を確かめることが大切です。自宅や職場からの移動時間、利用できる交通手段も含めて考えると、仕事と通院の予定を調整しやすくなります。
再検査の予約から結果説明・会社への報告までの受診の流れ

流れは「予約、準備、初診と検査、結果説明、会社への報告」の順です。段階ごとに確かめておくと、休みを取る回数を見通しやすくなります。
予約時は指摘項目・症状・希望日を伝え、当日の検査予定を尋ねる
電話では、次の内容を伝えるとやり取りが短く済みます。
- 結果票に書かれた判定と、指摘されたこと
- 咳などの症状と、いつから続いているか
- たばこを吸っていたか、どのくらい吸っているか
- 受診できる日と、会社へいつまでに出すか
そのうえで、初めて受診する日にできる検査、別の日になる検査、紹介状や健診の画像がいるかを尋ねてください。医療機関によっては、検診を受ける前に電話で予約する必要があります。二次検査をどう予約するか、受け付けてもらうための条件も、問い合わせるときに確かめてください。
結果票・過去の画像・服薬情報を準備し、食事制限は個別に確認する
持参したいのは、結果票一式、紹介状、手に入る過去の画像や健診結果、お薬手帳、保険資格を確認できるもの、会社指定の書式です。過去の画像があれば、影が以前からあるものかを比べやすくなります。
特定健診では、前日の飲酒や激しい運動を控え、午前に受けるなら10時間以上、水以外の飲食をしない決まりがあります1。ただし、食事制限は検査の内容や受診先の指示によって異なり、この条件が二次検査すべてに当てはまるわけではありません。水分や当日の服薬も含めて受診先の指示を確かめ、ご自身の判断で薬を休まないでください。
初診で検査が終わるとは限らない:結果説明と次の通院まで見通す
初診では問診と診察のあとに必要な検査を行い、その結果をもとに経過観察、治療、紹介のいずれかへ進みます。当日に分かる項目もあれば、外部へ出す検査のように数日かかるものもあり、通院の回数は人によって異なります。
結果がそろう時期、説明の方法、次回の予約、治療を始める場合の条件をその場で尋ねておくと、シフトの調整に役立ちます。米国の肺がん検診では、定期的な検診の受診が途中で途切れる人が一定数いると報告されています3。
ポイント
一度の受診で終わらない前提で、結果説明までの日程を最初に見通しておきましょう。
保険適用・支払いの内訳・会社提出用の書類を受診前に確認する
医師が診療に必要と判断した検査は保険診療になるのが一般的ですが、健診目的の検査は扱いが異なります。再検査ならすべて保険適用とは限りません。 支払いには、診察料、検査料、画像検査などの追加分、書類の作成料が含まれることがあります。
費用は検査の内容や医療機関によって異なります。この記事は一般的な考え方を示したもので、当院の費用を示すものではありません。会社や自治体の補助は、対象となる条件を窓口で確認してください。
会社指定の書類は、書式、作成にかかる日数、受診証明で足りるかを確かめておきます。結果票を手元に置き、候補の医療機関へ「指摘項目に対応しているか」「当日どこまで検査できるか」を問い合わせるところから始めてみてください。
よくある質問
Q. 健康診断の再検査は、どうやって受けるのですか?
A. 結果票を手元に置き、指摘されたことを相談できる診療科に問い合わせて予約します。受診するときは結果票をすべて持っていき、医師がお話を聞いて診察したうえで、必要な検査を決めます。
Q. 再検査を受けたら、そのあとはどうなりますか?
A. 検査の結果をもとに、経過観察、治療、詳しい検査ができる医療機関への紹介のいずれかへ進みます。どれになるかは結果と症状によって医師が判断しますので、説明を受けたうえで次の予定を決めてください。
Q. 再検査を受けたことは会社に知られますか?
A. 再検査を受けたことが、受診先から会社へ一律に自動で伝わるわけではありません。ご本人の報告や、会社が手配した受診の仕組みなどによって伝わる場合があります。結果をどこまで報告するかも会社の決まりによって異なるため、健康管理の担当者や産業医に確認してください。
Q. 再検査になる人は、どのくらいいるのですか?
A. 割合は年齢や調べる内容、健診を受けたところの判定の決まりによって変わるため、みな同じとは言えません。人数の多い少ないよりも、ご自身の結果票に書かれた指示と、いつ受診するかを大切にしてください。
Q. タバコを吸っていても受診してかまいませんか?
A. もちろんご相談いただけます。胸部の指摘がある場合は、喫煙歴をそのまま医師に伝えてください。禁煙を考えている方は、禁煙外来の相談もあわせて尋ねることができます。
参考文献
1. 厚生労働省「特定健康診査及び特定保健指導の実施について(平成29年10月30日 健発第1030001号・保発第1030006号)」 https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc3000&dataType=1&pageNo=1
2. 国立健康危機管理研究機構 糖尿病情報センター「糖尿病と関連する検査」 https://dmic.jihs.go.jp/general/about-dm/030/010/02.html
3. Lopez-Olivo MA, Maki KG, Choi NJ, et al. Patient Adherence to Screening for Lung Cancer in the US: A Systematic Review and Meta-analysis. JAMA Network Open (2020). PMID: 33196807 / DOI: 10.1001/jamanetworkopen.2020.25102
産業医科大学医学部 卒業
産業医科大学 第二外科
1996年
九州厚生年金病院
(現:JCHO九州病院) 外科
1997年
北九州市立医療センター 呼吸器外科
1998年
産業医科大学 大学院
博士課程医学博士 取得
2002年
産業医科大学 第二外科 助教
2004年
産業医科大学 第二外科 講師
2007年
中部ろうさい病院 呼吸器外科部長
2016年
中部ろうさい病院
呼吸器病センター長(兼)
2019年
名古屋市瑞穂区にて菅谷クリニック開院
日本外科学会認定登録医
日本呼吸器学会認定 呼吸器専門医
肺がんCT検診認定医
身体障害者福祉法第15条指定医
臨床研修指導医
緩和ケア研修修了
日本呼吸器外科学会評議員
<所属学会>
日本外科学会
日本呼吸器外科学会
日本胸部外科学会
日本呼吸器学会
日本呼吸器内視鏡学会
日本肺癌学会
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